心理・発達サポートルームでは、これまでの心理カウンセリングに加え、幼稚園、保育園やこども園の先生を始めとする、未就学児の発達にかかわる関連職の方のための「保育コンサルテーション」を実施しています。
幼稚園や保育園、認定こども園への訪問相談、保健所の発達相談などで、のべ3,000人以上の乳幼児の発達に携わってきた臨床心理士・公認心理師が、園児の発達の特徴や発達段階、性格面などから多面的に探り、よりすくすく・よりのびのび育つことができるよう、かかわり方や今後の発達の見通しについて具体的に助言をしたり、お住まいの地域でよりよい発達支援につながれるよう、一緒に考えます。
その子に合った接し方、関わり方を知ることで、より良い発達を目指せるだけでなく、先生方の日常的な心理的・労力的な負担の軽減につながります。また、子どもの発達を見る視点を他児へ、クラスへと広げていけることや、保護者対応のノウハウを蓄積していただけるため、先生や園全体の保育力の向上につながってゆきます。
子どもたちに将来、Well-Being、よりよい人生を送ってもらうためには、乳幼児期から見え始める「発達の偏り」の特徴を知り、理解し、適切な関わりができる大人を一人でも周りに増やすことが大切です。生まれて初めての集団生活の入り口にいらっしゃる、幼稚園や保育士の先生方とともにWell-Developing、よりよい発達を促し、その子のQOL(Quality of Life)の向上のみならず、性格の形成や卒園後の人生を豊かにするお手伝いをさせていただきます。
心理・発達サポートルームでは、以下の6つに重点をおいて相談活動をしています。
1. 周りの大人が特性を理解することの大切さ
人は誰もが、程度の差こそあれ得意なことと苦手なことを持っています。
しかし、多くの大人は子どもの苦手なことに注目しがちで「今のうちに何とかしてあげたい」と、よかれと思っていろんな言葉かけや、関わりをしようとします。
しかし、もしそれがその子の特性や性格に合っていない言葉かけだったら?
その子に合っていない関わり方だったら?
周りが良かれと思ってしている関りが、その子にとっては成長を促すどころか、劣等感を育てたり、発達の偏りをより大きくしてしまうことすらあります。
当ルームでは、その子の特性を正しく把握、理解していただきながら、先生方が適切なかかわりができるようサポートします。
2. 発達段階に合わせた取り組みの大切さ
上の「特性理解」と同じくらい重要なのが、その子の発達の段階のアセスメント(見立て)です。
一般に効果があるといわれる対応方法も、その時の発達段階に見合っていなければよい変化は起きません。
その子の「その時期」の発達段階に合わせた取り組み、関りが大切です。
一方で、この方法が有効だったからと、ずっと続けてしまっている園があります。また、発達支援に積極的な園や先生のもとで集団生活を過ごした子どもが、小学校に進学した途端、しんどさを見せることもあります。
特性に配慮しながらの関りは大切ですが、その子が次の取り組みができる発達段階に達しているにもかかわらず、幼い発達段階の対応を続けてしまうと、次の成長を促せないばかりか、成長の機会を奪っているのと同じことになってしまいます。
当ルームでは、その子の発達段階を見立て、「いま」一番適切で効果的な関り方や取り組みを提案し、次の発達段階へとつないでゆきます。
3. 就学前の「今」しかできない働きかけの大切さ
一般的に、発達障害や発達に偏りがある子どもには「得意なことをどんどん伸ばしてやるのがいい」と言われます。
苦手なことを頑張らせてつらい思いをさせたり、自信を失わせるのはよくない、という考えに基づくもので、それ自体は間違ってはいません。
しかし「乳幼児期」に関しては、正解ではありません。
今の発達段階だからこそできる関わり、伸ばせる取り組みというものがあるからです。
褒めたら純粋に喜んでくれる時期。
もっと褒められようと、さらに頑張れる時期。
お友達と自分を比べることなく楽しみながら取り組める時期。
お友達に応援されたり、励まされながら頑張れる時期。
そんな発達段階の時に「苦手なことに取り組ませない」のは、成長の機会を逃している、もっと言うと成長を諦めているのと同じことになってしまいます。さらに大切なのは、「集団の中でしかできない」取り組みや関わり方があることです。
当ルームでは、その子の発達に応じて
「いまだからこそ、できる」
「いましか、できない」
「いま、集団の中だからこそできる」
「いま、集団の中でしかできない」
先生方が普段、園の中で実行することが可能な取り組みや関り方を具体的にアドバイスし、次の学年へ、小学校へと繋いでゆきます。
4. 地域とつながることの大切さ
当ルームでは成人の「カウンセリング」をしていますが、「子育て・発達相談」は「相談」と「コンサルテーション」を軸にしています。
「カウンセリング」は、その方が抱える問題に細く長く関わる支援、「相談」は太く短く関る支援の方法ですが、なぜ「子育て・発達カウンセリング」ではないのでしょうか。
それは「発達支援は多職種支援が望ましい」といわれていることに関係します。
先生方だけが、支援者だけががんばるのではなく、今、その子が生活している地域に一人でも理解者を増やし、よりよい生育環境を作ってあげることが大切です。
- 福祉のサービスや療育につながり、楽しみながら自信をつけられる場を増やすこと。
➡同年齢集団の中で「自分とお友達」の比較ができるようになると、園で先生がどれだけ気をつけて接しても、劣等感を育ててしまいがちです。その子が気兼ねなくのびのび過ごせる環境を増やしておいてあげることが大切です。 - 保護者自身が情報交換したり、喜びあったり愚痴を言い合える仲間をつくれること
➡園の中での保護者の人間関係は、子どものお友達関係と連動しがちですが、発達特性を持つ子どもの中には、お友達ができにくい子どもが少なくありません。地域と繫がることは、その子のためだけでなく、保護者の世界を広げることにも役立ちます。 - 必要であれば発達検査や診断、かかりつけ医とつながれること
➡園では配慮しながら乗り切れたと思っていても、小学校に進学した途端、しんどさを見せる子は少なくありません。
そんな時「診断名」は教育者、専門家間での共通言語となり「何かよくわからなけどしんどそうな子」と学校内で放置されるのを防ぐことができます。
集団でのその子の様子を知っているのは先生方だけ、小学校に行ってからのしんどさを想像できるのも先生方だけです。
その子が卒園後も笑顔で過ごせるために、今、保護者にどのような働きかけ、声かけをすればよいかを一緒に考えます。
心理・発達サポートルームは、すでに多くの先生が経験されている
「保護者が安定すると、子どもも落ちついてくる」
「子どもが適切な支援につながると、園でも落ち着いた姿が見られるようになる」
を、地域との繋がりを増やすことで実現させるお手伝いをいたします。
5.周りの大人が無理なく支援を続けられることの大切さ
未就学児の発達支援は、自治体によって利用できる資源がさまざまなのが現状です。
そのような中、子どもに少しでも成長してほしいと願われる保護者は多いものです。しかし保護者ががんばりすぎて、しんどくなってしまったり、子どもにとってお家の中がほっとできない場所になる(お家でも頑張らなければならない)と、その影響は園生活にも表れます。心理・発達サポートルームでは、家と園でのバランスを考えながら、園での取り組みや、保護者への声のかけ方について助言します。
一方で、「気になる子」がいるクラスの先生には、どうしても負担がかかりがちです。担任の先生だけに負担がかからない方法、園全体で無理なく取り組める方法についても、提案します。
6. 周りの大人が元気でいられることの大切さ
保護者はもちろんのこと、その子に関わる保育者の心身が健康で安定していることは、その子の安心・安全感を高め、日々の成長によい影響を与えます。
心理発達サポートルームは、先生方の心身の状態や、置かれておられる状況にも考慮しながら、ベストな支援方法を提案します。
新型コロナ感染症が落ちつくまでは、オンライン(Zoom、Skype)相談のみの対応となりますが、動画撮影されたものを一緒に見ながらのご相談にも対応しています。
大切なお子さんが、笑顔で小学校の入学式を迎えられるように、「いま」から共にがんばりましょう。
◇ 専門職の方のための相談プラン
- 園全体で発達支援に取り組まれたい場合 → 訪問相談型のキンダーカウンセリング
※キンダーカウンセリングは、合同会社 OfficeTiiDA からのご提供になります。 - 先生や関連専門職の方が、個人でケースの相談をされたい場合 → オンラインでできる個人保育コンサルテーション
- 担任と副担任で、学年担任で、主任も交えてなど複数で共有されたい場合→ オンラインでできるグループ保育コンサルテーション
など、目的に応じてご活用ください。
保育士、幼稚園教諭、また子育て支援の領域でお仕事をされている専門職・関連職の方のための、ZoomやSkypeを用いたコンサルテーションです。心理面及び発達面からの見立てや助言を行います。個人で、グループで、ご活用ください。
幼稚園、保育園、こども園からの依頼でカウンセラーが園を訪問し、先生方が「気になっている子」についての見立てや助言を行う「個別相談」、「気になるクラス」を観察をし関わり方や活動について助言を行う「クラス相談」があります。保護者相談にも対応する「顧問契約」もあります。
📚 出版物のご案内 📚
[政府刊行物]幼稚園版スクールカウンセラー 導入・活用・実践ガイド 丸山直子著 日本法令(2022年8月出版)